現時点で「くるら」史上一番の大作!!国指定重要文化財「旧高野家住宅 甘草屋敷 」
ここは山梨県甲州市塩山「旧高野家住宅 甘草屋敷 (かんぞうやしき)」。
どうでしょうこの雰囲気?写真からもうすでに、魅力がひしひしとに伝わってくるのではないでしょうか。
甲州を代表する民家として、高野家住宅(主屋)は全国的な民家調査が始まる以前の昭和28年3月31日に、国の重要文化財に指定されました。
茅葺型銅板葺(かやぶきがたどうはんぶき)の屋根。
茅葺き屋根→茅葺き屋根とは、ススキやヨシ、藁(わら)などの材料を使用して葺く屋根の構造のこと。
銅板葺→銅を薄くした板で葺いた屋根の総称。
中央には二段の突き上げ屋根。
屋根を支える柱は高く棟まで通る棟持柱(むなもちばしら)で、これに梁(はり)(※1)を重ねて渡した間に見せ貫(※2)を通し漆喰塗りとした妻壁の構造は日本の美を感じさせてくれます。
※1.梁→建物の水平短径方向に架けられなど、屋根の荷重を柱に伝える材のことであり、主に曲げ応力を担う。
※2.貫→木造建築で柱等の垂直材間に通す水平材。
この棟持柱は甲州の特色を遺憾無く発揮したものです。
2階突き上げ屋根からの景色も趣がありますね。
1階の屋敷。毎年2月11日~4月18日の期間に開催している「ひな飾りと桃の花まつり」では江戸時代の「享保雛」や、大正から昭和中期のひな人形をはじめ、地域に伝承されてきた品々、和紙を使用した甲州市オリジナルのつるし飾りなど約4,000体を展示しています。
圧巻です。今年はコロナの影響で開催はあくまで予定となってますが、来年以降アフターコロナのあとは絶対に行きたいですね。
こちらは、主屋2階。着飾っていないこの雰囲気、たまりませんね。
勿論、触れてはいませんが、この昔の質感を直接体感できることはとても貴重だなと改めて実感。
山梨の地場産業の一つでもある「養蚕」についても、ここで学べます。
外国産の絹糸の普及とともに山梨県内の養蚕農家は減少し、今では数軒の養蚕農家しか残っておりません。
時代の流れもあるのでしょうが、山梨県の地場産業としてなくしてはいけない、後世に伝えていきたい地場産業であると強く感じます。
ここは庭にある「甘草園」。甘草屋敷と言われる所以でございます。
高野家は、江戸時代に薬用植物である甘草の栽培をして幕府に納めていた家で、古くから「甘草屋敷」と呼ばれてきました。
幕府直営の薬草園で栽培するための補給源として、また薬種として幕府へ上納を負っていました。
甘草は甘味料や調味料として多く使われる一方、薬用としても広く用いられ、重要な生薬でもあります。
甘草園に自生する甘草は「甲州甘草文書(県指定文化財)」によると、少なくとも340年を経ていることになり、日本で最も古い由緒を持つものです。
「巽蔵(たつみぐら)」
主屋と同時期の19世紀初頭の建築とみられ、主屋と並行して配置されています。
この「巽蔵」には「樋口一葉資料館」や「漢方薬」についての展示がされています。
「馬屋」
「東門」
「文庫蔵」
天草屋敷子ども図書館として、「子どもと本の出会いの場」として、利用できます。
「小屋」
大正2年頃現在地へ移葬されたものですが、元の建物は主屋と同時期の19世紀初頭頃と見られています。
一般的な農家の住まいとして貴重です。
「附 地実棚(つけたり じみだな)」
地味棚とは、塩山の冬の風物詩となっている「コロガキ」を吊るしたり、クリを干した「カチグリ」を作る施設。
秋冬の低い日差しでも二回の棚に陽が届くように、南側の軒先を切り詰めた切妻の屋根をかけています。
以前山梨のTV番組「ててて!TV」でもご紹介されましたが、晩秋の干し柿のすだれは素晴らしいですね。
「附 裏門」
「附 座敷門」
「巽蔵」「馬屋」「東門」「文庫蔵」「小屋」の五棟、附(つけたり)として「地実棚」「裏門」「座敷門」の三棟、さらに井戸や池、石橋、石垣を含む住宅が平成8年7月9日付けで重要文化財の追加指定を受け、名称が「旧高野屋住宅」と変更されました。
ふぅ。
いかがでしたでしょうか。今までで一番のボリュームの記事だったと思います。
ただそれくらい素晴らしい、紹介したい場所や話が詰まった「旧高野家住宅 甘草屋敷 」。
塩山駅北口を出て向かいにすぐ見えます。アフターコロナのあと、この歴史ある素晴らしきお屋敷、一度足を運んでみてはいかがでしょうか。
旧高野家住宅 甘草屋敷
〒404-0042 甲州市塩山上於曽1651-15
0553-33-5910
定休日 : 火曜日(祝日の場合は開館)、祝日の翌日、年末年始(12月28日~1月4日)
営業時間 : 9時~16時30分(子ども図書館は午前9時30分から)
URL : https://www.koshu-kankou.jp/map/rekishi/kyuutakanokejuutakukanzouyashiki.html
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