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地方病の研究と治療に生涯をかけた医師・杉浦健造、三郎親子!! 国有形登録文化財「杉浦醫院」

カルチャー

地方病をご存知だろうか。

地方病・日本住血吸虫症

山梨県では古くから下腹部が異常にふくらむ「はらっぱり」や「膨腹」と呼ばれていた原因不明の奇病があり、多くの人達の命が失われてきた。

患者の8割近くが山梨県内に集中していたことから「地方病」という名前が一般的になった。

この地方病(日本住血吸虫症)は、肝臓に寄生する寄生虫・日本住血吸虫によって発病し、肝臓が硬化して手足は痩せ細るのに腹はますます膨れ、やがて吐血と下血を繰り返し、死に至るという恐ろしい病気であった。

本日ご紹介するのは、地方病・日本住血吸虫症の研究と治療に生涯をかけた医師、杉浦健造、三郎父子の業績を顕彰し、地方病終息に至る足跡を伝承していく、山梨県中巨摩郡昭和町の国有形登録文化財「杉浦醫院」を紹介していく。

杉浦醫院は、江戸時代初期からこの地で、代々漢方医を開業してきた。

8代目の杉浦健造博士は、近代医学を修め、多くの患者を苦しめてきた原因不明の奇病「地方病」の原因究明に立ち上がった先駆者である。

健造博士が発表した仮説が、ミヤイリガイ発見に繋がり、健造博士は、ホタルやアヒル、ザリガニなどの天敵によるミヤイリガイ撲滅の先頭に立った。

父の遺志を引き継いだ三郎博士は、地方病の治療法と予防法の確立に努め、多くの患者の命を救った「地方病博士」であった。

アメリカの医学や研究者も三郎博士から治療法を学ぶためにこの地を訪れた、日本住血吸虫症の世界的権威として活躍した。

この杉浦父子をはじめとする山梨県の医療関係者や保健所、行政機関、住民の闘いにより、平成8年(1996)、「流行終息宣言」が出された。

明治14年から115年を経てやっと終息に至ったのだ。

診察室や薬棚等当時のままを保管されている非常に貴重な資料館。

薬も全て本物である。

スチブナール

大正12年にできた、地方病唯一の治療薬である。

アンプルで吸い取って、当時の太い注射針で静脈注射を打った。

20回ほど打つそうだが、非常に副作用が強く1回打って1日休んでの繰り返し。

また、金額も非常に高かったので、最後まで打てた人は少ないと言われている。

資料館では、ガイド付きで見学ができるので当時の暮らしや、地方病についてより詳しく知ることができる。大学生・一般 200円 / 小中高校生 100円(団体50円引き)

応接室

杉浦家は代々医者であり、大きな地主であり経済的には非常に豊かであった。

ピアノは現上皇様が生まれた年に限定100台で造られたピアノである。

空襲で全て焼けてしまい、残っているのが皇居に1台、名古屋に1台、そして杉浦醫院の1台しか残っていない貴重な存在である。

名古屋のものはもう弾くことができず、実際に我々が弾くことができるのはこの1台しか残っていない。

当時の価格で1,250円、現在換算で約600万〜700万円。誰でも弾くことができるのも魅力だ。

昭和天皇と杉浦健造博士。

昭和天皇は生物学を学んでおり、非常に興味深く話を聞いたそうだ。

敷地内の四方山ギャラリーでは、かつての昭和村、昭和町で使われてきた民具や農具などの郷土資料から、「杉浦コレクション」と言われる杉浦家が収集してきた書画骨董が季節を変えて展示されており、非常に見応えのあるギャラリーとなっている。

美しい庭園とともに、山梨の歴史や地方病について深く学べる「杉浦醫院」。

県外の方はもとより、山梨県民の方にも是非足を運んでいただきたい場所である。

杉浦醫院

〒409-3865 山梨県中巨摩郡昭和町西条新田850-1 

055-275-1400

開館時間 : 9:30 – 16:30(最終入館は16時まで)

休館日 : 土曜日・祝日・年末年始

入館料 : 大学生・一般 200円 / 小中高校生 100円 (団体50円引き)

URL : http://www.sugiura-iin.com/index.html

Daisuke Akiyama

山梨県南アルプス市出身。メンズファッションブランドのマーチャンダイザー及びEC事業部マネージャーを経て2021年独立。生まれ育った山梨を一から見つめ直すため...

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