富士山麓の最大規模の溶岩洞穴!!国指定天然記念物「西湖コウモリ穴」

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青木ヶ原樹海には洞穴が多く、自然の神秘を感じられる場所が幾つも存在する。

富士山の噴火で流れ出た溶岩は、冷え固まる際に内部に空洞ができることがあり、この空洞が樹海の溶岩洞窟になるのである。

この付近は溶岩流が湖を埋めた場所であるため、厚い溶岩装が湖水からガス化した水分を受けることによって、幾つもの空洞が上下に連結して延びてできた洞穴が多く、単純な構造のものは少ない。

「鳴沢氷穴」「富岳風穴」に続く、洞窟シリーズ。

山梨県富士河口湖町西湖 / 国指定天然記念物「西湖コウモリ穴」

この洞穴は、比較的大規模な支洞をもち、総延長350メートル以上に及び、富士山麓の溶岩洞穴中最大規模である。 

門の両脇にある横格子の部分は、夜間にコウモリたちが自由に出入りできるようにと考えられたものである。

仕切りに、このような横長の部分があることにより、コウモリたちは翼を広げて素早く飛びながらも、楽に格子をすり抜けることができる。

洞穴内部には、富士山の噴火で流れ出た溶岩が外気にふ爆発成分(ガス)を発散しながら固まるとき、洞穴の内面に鍾乳石や縄状溶岩が作られた。 

洞窟内の温度は、他の洞穴と異なり、夏もそれほど冷気を覚えず、冬温暖であるため、過去においては、多数のコウモリが冬眠の場所として生息していた。

しかし、近年はそのコウモリの数も減少している。

巨人の足跡広場

垂れ下がった天井部から落下した溶岩塊が、下の洞窟へ向かって流下する溶岩の流れを遮ぎる。

このために塊が上流部に流れの渦の筋が見られる。

この遮りによってホールの床の沈下が止められた。

まるで同じ地球とは思えない、神秘的な世界。

異空間にいるような感覚はこの場所でしか味わえない醍醐味である。

余りにも低い天井は、人間本位ではない「自然」を感じさせられる。

縄状溶岩

ドロドロした溶岩がなだらかな傾斜の所に流れてきた時、表面は固結するが内部は未だに柔らかい。

それにより上部の皮の部分が下部の流動に引っ張られて縄を何本も並べたような凹凸の激しい縞模様をもった溶岩、すなわち縄状溶岩が形成される。

ここから、溶岩の流れの方向がわかるのである。

コウモリ保護区域

この格子の先の洞窟部分は、コウモリにための保護区域である。

コウモリ穴に暮らすコウモリの大部分が日中この部分で休憩し、季節によっては子育てや冬眠をおこなっている。

この保護区域の設定により、一時はほとんど見られなくなったコウモリたちが、コウモリ穴の各所に戻ってくるのを待っているのである。

珪藻土線(けいそうどせん)

西暦864年、刹の海(西湖・精進湖の分裂以前の湖)に約80メートルの厚さの溶岩流が流れ込んで、湖水は沸騰、蒸発して水位が低下した。

その後再び元の水位に戻って、洞窟内にも水が溢れた。

昔の刹の海の水位を示す跡が、この白い珪藻土線である。

異空間から現実世界に戻る感覚。

霊峰富士の噴火によってできた、言葉に言い表せない独特な雰囲気と神秘的な力に溢れる洞穴。

人間には計り知れない、自然の凄みを感じることができる。

実際にコウモリに出会える確率は非常に少ないので、安心して洞穴の中を探訪して頂ける。

ただ、コウモリが減ってしまった理由に洞穴内のたき火などいたずらが相次いだことが原因として挙げられる。

人間の愚行のせいで本来の住処を失ってしまったコウモリ達。

現在は「保護区域」を設置し安心して戻ってこられる体制を整えているので、本来のすみかに戻ってくることができるよう、切に願う。

国指定天然記念物 / 西湖コウモリ穴

〒401-0332 山梨県南都留郡富士河口湖町西湖2068

0555-82-3111

営業日 : 3月20日~11月30日

営業時間 : 9:00~17:00

URL : https://kawaguchiko.net/cultural-assets/saiko-komoriana/

Daisuke Akiyama

山梨県南アルプス市出身。メンズファッションブランドのマーチャンダイザー及びEC事業部マネージャーを経て2021年独立。生まれ育った山梨を一から見つめ直すため...

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